和牛と国産牛の基本的な違い
和牛と国産牛は、どちらも「日本の牛肉」というイメージがありますが、定義はそれぞれ異なります。ここでは、品種や飼育地による基本的な違いをご紹介します。
和牛とは?
和牛とは、日本古来の在来種をもとに改良された、食肉専用の牛を指します。具体的には「黒毛和種」「褐毛和種」「無角和種」「日本短角種」という4つの品種と、それらの交雑種が該当します。
日本で育てられた牛肉が、すべて和牛に分類されるわけではなく、この4品種であることが条件です。つまり、和牛であるかどうかは、品種が基準となっているのです。
国産牛とは?
国産牛は、日本国内で育てられた期間が最も長い牛のことです。牛の品種は関係なく、例えば外国産のホルスタイン種や交雑種であっても、日本での飼育期間が一番長ければ「国産牛」と表示されます。つまり、国産牛であるかどうかは、飼育地が基準となって決まります。
輸入牛との違い
ここで気になるのは、和牛や国産牛と並んでスーパーで目にすることの多い「輸入牛」との違いです。輸入牛は、和牛や国産牛とは異なり、海外で生まれ育ち、加工された上で日本に輸入された牛肉のことを指します。アメリカ産やオーストラリア産が代表的で、赤身が多く、価格も和牛や国産牛と比べて比較的手頃なのが特徴です。
和牛と国産牛の主な違い
和牛と国産牛は、基本的な定義に加え、肉の特徴や価格帯、主な用途にも違いがあります。
和牛は、霜降りが入りやすく、やわらかな肉質と脂の風味が特徴で、価格帯は国産牛よりも高めです。一方、国産牛は赤身が多めであっさりとした味わいが楽しめます。価格も和牛と比べて手頃で、日常使いしやすい点が魅力です。それぞれの特徴をもとに、目的や料理に合わせてぜひ使い分けてみてください。
和牛と国産牛の一般的な特徴
| 比較項目 | 和牛 | 国産牛 |
|---|---|---|
| 定義 | 特定の日本固有4品種 | 日本で最も長く飼育された牛 |
| 品種 | 日本固有の4品種に限定 | 品種を問わない |
| 特徴 | 霜降りが多く、やわらかい肉質と濃厚な味わい | 赤身中心で、あっさりとした味わい |
| 価格帯 | 高級 | 和牛より比較的手頃 |
| 主な用途 | 贈答用、すき焼き、ステーキなど | 家庭料理全般 |
和牛の種類と特徴
先ほどご紹介したとおり、和牛は国産牛と異なり、品種が限定されています。ここでは、和牛の4つの品種について、それぞれ主な特徴をご紹介します。
和牛の品種ごとの一般的な特徴
| 品種 | 特徴 |
|---|---|
| 黒毛和種 | 全国の和牛の大多数を占める代表的品種。角やひづめまで全身が黒い。霜降りが多く、脂はきめ細やかで口どけが良い |
| 褐毛和種 | 黄褐色や赤褐色の毛色。黒毛和種に比べて脂肪分が控えめで、あっさりとした味わい |
| 無角和種 | 毛色は黒色で角がない。黒毛和種に比べて赤身が豊富で、山口県のみで飼育される希少な品種 |
| 日本短角種 | 毛色は濃褐色。黒毛和種に比べて赤身の割合が多く、豊かな旨み |
「和牛の品種」や「黒毛和牛」については、下記の記事で詳しくご紹介しています。
和牛の種類にはどういうものがある?品種や主な銘柄牛の特徴を紹介
和牛は数ある肉の種類の中でも特別感があり、外国人からも「wagyu」と呼ばれるなど、国内外で広く親しまれています。
黒毛和牛とは?国産牛との違いや銘柄、調理のポイントをプロが解説
きめ細やかな霜降りと、脂のとろけるような口溶けが魅力の黒毛和牛。和牛の中でも特に高い人気を誇り、日本を代表する高級牛肉として知られています。
スーパーや通販での見分け方のポイント
スーパーや通販サイトで牛肉を選ぶときは、商品ラベルをチェックすることで、「和牛」か「国産牛」かを見分けることができます。
例えば、「黒毛和牛(国産)」などと表記されていれば、それは「和牛」に該当します。一方で、「交雑種(国産)」といった記載がある場合は、和牛ではなく国産牛です。
一方、「国産」とだけ書かれている場合は、あくまで「日本で長く飼育された牛」という意味であり、品種まではわかりません。和牛かどうかを判断するには、品種の表示があるかを確認することがポイントです。正確な品種を知りたい場合は、商品ラベルに表示されている「個体識別番号」をWebで検索すると確認できます。
A5ランクとは
牛肉を選ぶ際には、和牛か国産牛かだけでなく、「A5ランク」などの格付け表示が気になるという方も多いのではないでしょうか。
この「A5」というのは、公益社団法人日本食肉格付協会の格付け基準にもとづいた評価ランクです。評価は、「歩留等級」と「肉質等級」の2つの基準によって決められています。
まず、歩留等級(A~C)は、牛1頭からどれだけ多くの可食部が取れるかを示すもので、Aがもっとも多く、B、Cと続きます。一方、肉質等級(1~5)は、「霜降りの度合い」や「肉の色とつや」「肉の締まりときめ」「脂の色と質」を総合的に評価するものです。この歩留等級と肉質等級を掛け合わせて、肉のランクが決まります。
このランク表示は、料理や好みによって使い分ける際の目安にもなります。
例えば、A5ランクの牛肉は霜降りが多く、脂の口どけが良いため、短時間で火を通すすき焼きやしゃぶしゃぶと相性抜群です。割り下やタレの味に負けず、肉の甘みやコクをしっかり楽しめます。
一方で、「脂が重く感じる」という方の場合、料理によってはA4やA3ランク、または赤身中心の国産牛を選ぶのもおすすめです。おいしさの感じ方は人それぞれのため、ランクにとらわれすぎず、料理や好みに合った肉を選ぶことが大切です。
おいしい肉の選び方
「和牛か国産牛か」に限らず、おいしい肉を選ぶためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。ここでは、スーパーなどで肉を選ぶときに注目したいポイントをご紹介します。
ドリップが少ないものを選ぶ
ドリップとは、パックの中に溜まっている赤い液体のことです。このドリップには肉のうまみ成分が含まれているため、「ドリップが多い=うまみが逃げてしまっている」ということになります。購入する際は、できるだけドリップが少ないものを選んでください。
赤身と脂身の状態をチェックする
見た目の色や質感は、肉の鮮度やおいしさを見極める重要なポイントです。
赤身の部分は、鮮やかな赤色をしているかを確認してください。黒ずんでいたり、くすんで見えたりする場合は、鮮度が落ちている可能性があります。
また、霜降りがある場合は、脂が白く、きめ細かく入っているものが理想的です。さらに、脂にしっとりとした潤いや、つやがあるものを選んでください。乾燥してカサつきがあるものや、黄みがかっているものは避けた方が無難です。
和牛と国産牛の魅力を引き立たせる調理法
せっかくおいしい牛肉を選んだなら、調理法にもこだわりたいところです。和牛と国産牛は、それぞれの脂や肉質の違いによって、より相性のよい料理があります。ここでは、それぞれの特徴を活かしたおすすめの調理法をご紹介します。
和牛に合う調理法
和牛は、霜降りが多く、脂が豊富で、脂が溶ける温度である「融点」が低いのが特徴です。そのため、火を通しすぎず、脂の口どけや香ばしさを楽しめる料理がぴったりです。
例えば、すき焼きやしゃぶしゃぶ、ステーキなど、短時間で火を入れる調理法が適しています。特にすき焼きは、和牛の脂が割り下に溶け出し、野菜や豆腐にも旨みが移るので、すべての具材で和牛の風味を味わえます。
また、ステーキを焼くときにおすすめなのは、サイコロ状にカットして焼く方法です。大きなステーキ1枚を均一に焼くのは案外難しいのですが、一口サイズにすることで、外は香ばしく、中はミディアムレアに仕上がって肉のおいしさが引き立ちます。
国産牛に合う調理法
国産牛は赤身が多く、あっさりとした味わいが魅力です。脂が少なめなので、長時間火を通す料理にも向いています。例えば、肉じゃがやカレー、炒め物などの家庭料理にもぴったりです。
また、ここでおすすめなのが、国産牛と和牛をブレンドして調理する方法です。例えば、肉じゃがを作るときに、国産牛8割に対して和牛を2割ほど加えると、和牛の風味とコクが全体に広がり、味に深みが加わります。コストを抑えつつ、満足感のある一皿に仕上がりますよ。
和牛と国産牛の違いを知り、好みや用途に応じて楽しもう
和牛と国産牛は、どちらも国産の牛肉ではありますが、定義も特徴も異なります。脂の旨みを楽しみたいなら和牛、あっさりとした赤身を味わうには国産牛など、用途に応じた使い分けが大切です。また、それぞれに適した調理法は、牛肉の種類だけでなく、部位や個体によっても変わってきます。個々の肉の特徴をふまえながら、調理法を選びましょう。この記事を参考に、ぜひ自分好みの牛肉を見つけて、日々の食事を楽しんでみてください。
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