牛タンを焼きで食べるなら「タン元」と「タン中」
牛タンは、部位によって脂の量や食感が大きく異なります。そのため、調理する際には、その料理に合う部位を選ぶことが欠かせません。焼き料理で味わうなら特におすすめなのが、タン元とタン中の2つの部位です。
タン元は、舌の付け根にあたる部位で、脂がしっかりとのった、とろけるような食感が特徴の部位。厚切りにしてもやわらかくジューシーで、まさに焼きにぴったりの部位です。焼肉店で「特上タン」として提供されることも多く、旨みの強さが際立ちます。
一方のタン中は、舌の中央にあたる部分で、脂と赤身のバランスが良く、さっぱりとした味わいが楽しめることが特徴。薄切りにして焼くと程よい歯ごたえがあり、一般的に「牛タン」といえばこの部位を思い浮かべる方も多くいると思います。
牛タンを焼く前の下準備

牛タンをおいしく焼き上げるためには、焼く前の下準備がとても重要です。まず、冷凍牛タンを使う場合は、流水解凍が基本です。袋ごと流水にさらして10〜15分ほど、手で触ってやわらかくなる程度まで丁寧に解凍します。
注意したいのは、常温で放置して解凍する方法。この方法では牛タンからドリップ(肉汁)が大量に出てしまい、旨みが逃げてしまう原因になります。また、電子レンジでの解凍も部分的に火が通ってしまう可能性があるためおすすめできません。
解凍が不十分だと、焼いたときにムラが出たり、中まで火が通りにくくなったりすることがあるので、様子を見ながら丁寧に解凍してください。
牛タンのおいしい下味のつけ方
牛タンをさらにおいしく楽しむためには、焼く前にシンプルな下味をつけるのが効果的です。最近では、あらかじめ塩味などの下味がついた牛タンも市販されており、手間をかけずにそのまま焼いて食べられるのが魅力です。
自分で味付けする場合は、塩とこしょうを少々ふるだけで十分で、焼く直前につけるのがベストです。そうすることで、塩分によって余計な水分が出るのを防ぎ、牛タン本来のジューシーさや旨みを損なわずに仕上げることができます。
牛タンを解凍するタイミング
牛タンの基本の解凍方法は流水解凍です。袋に入れたまま水を流しっぱなしにしておけば、10~15分ほどでしっかり解凍できます。
もうひとつの方法は、前日から冷蔵庫に入れて自然解凍することです。翌日に使う予定がある場合は、前日の夕方ごろに冷蔵庫へ移すと、ちょうどよく解凍されます。
どちらの方法を選ぶかは食べるタイミング次第ですが、先述したように、常温で放置したり、電子レンジで解凍したりするのは、牛タンの風味を損ないやすいため避けるべきです。おいしく仕上げるための第一歩として、解凍のタイミングにもぜひ気を配ってみてください。
牛タンの焼き方

牛タンは、焼き方ひとつでおいしさが大きく変わる繊細な食材です。中までしっかり火を通しつつも、表面をカリッと香ばしく焼き上げることが、おいしさを引き出すポイントです。
ここからは、フライパン・グリルを使った焼き方のほか、ホットプレートやトースターなど、ご家庭にある調理器具でもおいしく仕上げる方法をご紹介します。
フライパンを使った牛タンの焼き方
まずは、ご家庭でも実践しやすいフライパンでの焼き方をご紹介します。
1. 牛タンを並べる前にフライパンをよく熱する
フライパンはあらかじめ中火で温めておき、オリーブオイルを小さじ1ほど加えて全体になじませます。温まったら、スライスした牛タンを重ならないように広げて並べていきます。
2. 片面をしっかり焼く
並べた牛タンは中火を保ったまま、片面に焼き色がつくまで焼きます。目安はおよそ1分程度。水分が出てきた場合は、キッチンペーパーで軽く拭き取りながら焼くと、表面がカリッと香ばしく仕上がります。
火加減が弱すぎると蒸し焼きのようになり、歯ごたえや風味が落ちることがあるため、中火をキープするのがポイントです。
3. 裏返して焼き上げる
焼き色がついたら裏返し、もう片面も同じように焼きます。薄切りなら短時間で十分ですが、厚切りの場合は中心まで火が通るよう、少しだけ時間をかけて焼いてください。焦がさないように注意しながら、中までしっかり加熱するのがおいしく仕上げるコツです。
グリルを使った牛タンの焼き方
グリルを使って牛タンを焼く場合は、厚切りの牛タンを使うことが多くなります。表面を香ばしく、中はしっとりジューシーに仕上げるためには、火加減と仕上げのひと手間が重要です。
1.グリルを温め、牛タンを斜め置きする
まず、グリルの網目に対して牛タンを斜めに置くようにします。こうすることで、焼き目がきれいにつき、見た目も美しく仕上がります。
2.両面にしっかりと焼き色をつける
次に、牛タンの両面に強火でしっかりと焼き色をつけます。この段階では、外側をカリッと仕上げることが目的なので、焼きすぎないよう注意しながら、しっかり色をつけてください。
3.アルミホイルに包む
両面に焼き色がついたら、牛タンをアルミホイルでふんわりと包み、2~3分ほど置いて余熱で火を通します。肉の内部がふっくらと仕上がり、パサつきを防げます。
4.中火で焼く
最後に、アルミホイルを外し、全体を中火でさっと焼いて仕上げます。余熱で火が通ったあとの表面をもう一度整えることで、外は香ばしく、中はジューシーな焼き上がりになります。
ホットプレートやトースターを使った牛タンの焼き方
ホットプレートを使う場合は、基本的にフライパンで焼くときと同じ手順でOKです。中火でしっかり予熱し、オイルを薄く引いたら、牛タンを並べて焼き色がつくまで焼きます。
一方、トースターを使って厚切り牛タンを焼く場合、片面焼きタイプであれば5分焼いてから裏返し、さらに5分程度を目安に焼いてください。両面焼き機能があれば、10分程度加熱すれば十分です。
ただし、トースターは煙や脂汚れが出やすく、庫内の掃除が面倒になりがちなため、あまりおすすめとは言えません。手軽においしく仕上げたい場合は、ホットプレートやフライパンを使う方がスムーズです。
牛タンを焼く際の失敗例
牛タンは、同じ部位でも焼き方ひとつで味や食感が大きく変わる繊細な食材です。特にご家庭で焼く場合、ちょっとした火加減や下処理の違いで、思ったように仕上がらないことも少なくありません。
ここでは、牛タンを焼く際によくある失敗例を3つご紹介します。
身が固くなってしまった
焼いた牛タンが「ゴムのように硬くなってしまった」というのは、よくある失敗例のひとつです。この原因の多くは、焼きすぎによるものです。特に薄切りの牛タンは、火が入りすぎると水分が抜けてパサつき、硬くなってしまいます。
焼き時間の目安は、片面1分ほどの中火焼きが基本。牛タンの縁が反り始めたら焼きすぎのサインなので、片面に焼き色がついたらすぐに裏返し、焼きすぎを防いでください。
しっかり焼いたはずなのに中身が生焼けだった
外はよく焼けているのに、中がまだ生だったという場合は、解凍が不十分な可能性があります。また、カットが厚すぎたことで、火が中まで届いていないことも考えられます。
こうした生焼けを防ぐためには、牛タンは冷凍庫から出してすぐ焼くのではなく、しっかりと流水解凍したり、焼いたあとにアルミホイルで数分休ませたりすることが大切です。
焼きムラは臭みの原因になることもあるため、できるだけ避けたいところです。食べたときにまだ生っぽさが残っている場合は、再度軽く焼き直して問題ありません。
水っぽく仕上がってしまった
牛タンを焼いたら、ベチャッと水っぽくなってしまったというケースもよくある失敗例です。この原因のひとつは、火力が弱すぎたことです。弱火でじっくり焼くと、肉の表面から水分が出てしまい、蒸し焼きのような状態になってしまいます。
牛タンは、中火〜強火で一気に焼き色をつけるのが基本です。仕上げの段階では中火で火を通しすぎないように調整すると、表面は香ばしく、中はジューシーに仕上がります。
プロがおすすめする牛タンの付け合わせ

牛タンは旨みが強く、シンプルな味付けでも十分おいしくいただける部位ですが、相性の良い付け合わせを添えることで、さらに風味が引き立ちます。
今回は、ミートスペシャリストの沼本さんに、牛タンとの相性が良い付け合わせをいくつか紹介してもらいました。
まずおすすめなのは、玉ねぎ・ししとう・長ネギなどの野菜類です。輪切りにした玉ねぎやししとう、食べやすくカットした長ネギは、牛タンといっしょにフライパンやグリルで焼くと、香ばしさが増し、塩こしょうだけでも素材の味が引き立ちます。
また、アクセントとして添えたいのが柚子こしょう。ピリッとした辛みと爽やかな香りが、牛タンの脂を引き締めてくれます。ほんの少し添えるだけで、味に変化が生まれます。
さらに、定番の生レモンも欠かせません。焼きあがった牛タンに軽く絞るだけで、さっぱりとした後味が加わり、食べ飽きないおいしさに仕上がります。スライスしたレモンを添えると、彩りが加わるので、おもてなし感を演出したいシーンにおすすめです。
牛タンは、焼き方次第でお店の味に近づける!
牛タンは部位によって、食感や旨みが異なる奥深い食材です。ご家庭でも、下準備や解凍を丁寧に行い、火力や焼き方などに気をつけることで、まるで焼肉店のような本格的な味わいに仕上げることができます。
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