うなぎの種類はひとつじゃない!食用種の特徴や天然と養殖の違い

うなぎの蒲焼

「食べると精がつく」といわれ、古くから夏バテ対策に重宝されてきたうなぎ。
代謝を促進して疲労回復に役立つビタミンB群や、血液をサラサラにする働きがあるEPA、免疫力の向上が期待できる亜鉛などが含まれており、滋養強壮に効果的です。

甘いたれと白いご飯の相性も良く、土用の丑の日に限らず、食べたくなる食材ですよね。
ただ、一口にうなぎといってもいくつかの種類があり、天然ものか、養殖ものかによっても特徴が変わってきます。

ここでは、よりおいしくうなぎを食べるために、食用うなぎの種類やその特徴について詳しくご紹介します。

食用うなぎは全部で4種類

食用うなぎ

世界には約20種類のうなぎが存在しているといわれています。
しかし、そのすべてが食用うなぎとして食卓に上るわけではありません。

実は、食べられるうなぎは、世界中に「二ホンウナギ」「ヨーロッパウナギ」「アメリカウナギ」「ビカーラ種(インドネシアウナギ)の4種類しかないのです。
ここでは、4種類の食用うなぎの特徴を詳しく見ていきましょう。

ニホンウナギ

自然界に生息する天然のうなぎのうち、最も多く食べられているのが二ホンウナギです。
日本各地の河川や海でとれるほか、マリアナ海溝で生まれて日本の川を遡上する稚魚を捕まえて養殖しているものも少なくありません。

一般的な二ホンウナギはすらっとした体つきで、よく身が締まっていて、コクのある脂を含んでいます。
背中側は緑から黒色で、腹側は白色。まだら状の斑紋はありません。
成長すると全長1m程になることもあります。

万葉集にも詠まれるなど、昔から日本人の生活に深く関わってきた二ホンウナギですが、近年は親うなぎや稚魚の乱獲、海洋環境の変動などによって漁獲量が減少しており、絶滅危惧種として資源管理対策の必要性が高まりました。

特に、青色の背中と白い腹を持つ「青うなぎ」は10〜20匹に1匹の割合でしかとれない幻の高級うなぎといわれ、やわらかい皮と上品な味わいもあって、非常に希少価値が高いことで知られています。

ヨーロッパウナギ

ヨーロッパウナギは、二ホンウナギよりもやや小さく、体長は1m未満。
太っていてよく脂がのっており、北アフリカからヨーロッパ各地までさまざまな地域に生息しています。

日本のスーパーでよく見かける中国産のウナギの多くは、北太平洋で捕獲したヨーロッパウナギの稚魚を中国国内で養殖し、日本に輸出しているものです。

ヨーロッパウナギは、2000年頃まで日本で大量に消費されていましたが、二ホンウナギと同じく乱獲によって数が減少。
2007年にワシントン条約に掲載され、2009年から国際取引が制限されています。

アメリカウナギ

北米の東海岸を主な生息地とするアメリカウナギ。身に厚みがあり、ふっくらとした食感が特徴です。

これまで、輸入うなぎは二ホンウナギとヨーロッパウナギが多くを占め、アメリカウナギはあまり出回っていませんでした。
しかし、ヨーロッパウナギが国際取引を制限されたこともあり、近年はアメリカウナギの流通量が増えています。

ビカーラ種(インドネシアウナギ)

フィリピンやインドネシアなどに生息するビカーラ種は、漁獲量の減少が危惧される二ホンウナギに代わって国内で養殖されるようになりました。

現在の日本では、二ホンウナギに次いで消費量が多くなっています。
体長は二ホンウナギより少し短く太めで、食感はやわらか。日本人が「ウナギ」と聞いて想像する独特の風味や脂は少ないものの、味は好まれることが多いようです。

うなぎを炭火で焼く様子

天然うなぎと養殖うなぎの違い

一般的に国産うなぎに分類されるうなぎには、国内の河川など自然に生息しているものを捕獲した「天然うなぎ」と、国内で養殖された「養殖うなぎ」があります。

天然うなぎと養殖うなぎとでは、手に入りやすさや価格、さらに味も異なるため、それぞれの特徴を把握してから選んでみてください。

流通量・価格

1970年以降、国内の天然うなぎは減少の一途をたどっています。

全国有数の天然うなぎの産地として知られていた地域でも、水門が完成して生育環境が変化したことなどによって漁獲量が激減。
茨城県の霞ヶ浦などでは、地域で天然うなぎの漁獲量を増やす取り組みが進んでいますが、国内全体を見ると、天然うなぎは1%未満と非常に貴重です。

そのため、天然ものの価格は高値で、養殖ものは比較的手に取りやすい価格で販売されています。

天然うなぎと養殖うなぎの流通量・価格

流通量 価格
天然うなぎ 少ない 高い
養殖うなぎ 多い 安い

生育環境による個体の品質

天然うなぎは、成長すると河川を離れ海へ出て産卵します。
生まれた稚魚は生息域を転々と変えながら回遊し、再び親がいた河川に戻って遡上していくといわれています。

うなぎは水底に住処を持つ底生生物(ていせいせいぶつ)であり、さまざまな水質の影響を受けた砂や泥の中で暮らしています。
さらに、甲殻類から小魚まで何でも食べる雑食性のため、厳しい自然環境の中で、良質なエサを常に食べているわけではないと考えられるでしょう。
こうしたことから、同じ種類の天然うなぎであっても品質は個体によって差があります。

一方、養殖うなぎは、稚魚の時点で養殖池や水槽に移され、安定した環境で育てられます。
健康に配慮した配合飼料を適度に与えられているため、ふっくらとやわらかな身に育つのも養殖ならでは。
同じ場所で同じように育てられた養殖うなぎの品質は、個体差が少なく安定しています。

天然うなぎと養殖うなぎの個体の品質

個体の品質
天然うなぎ 個体差あり
養殖うなぎ 個体差が少なく安定

産地ごとの味

国内で天然うなぎがとれる主な場所は、静岡県の浜松市をはじめ、小川原湖、利根川、狩野川、木曽川、四万十川、仁淀川、吉野川、一ツ瀬川などです。
生育環境と同様、同じ種類のうなぎでも生息地が違えば食べているエサや環境が異なり、味わいも変わります。

そして、地域性が味に反映されるのは、養殖のうなぎも同じです。
地域ごとに、うなぎに与えているエサや飼育環境が異なるため、産地ごとに味の違いが楽しめます。
うなぎの養殖は、鹿児島県、愛知県、宮崎県、静岡県、高知県などで盛んに行われています。

天然うなぎと養殖うなぎの産地ごとの味

産地ごとの味
天然うなぎ 産地によって変わる
養殖うなぎ 産地によって変わる

見た目

天然うなぎと養殖うなぎとでは、見た目も違います。

天然うなぎは、緑色から黒色の背中に黄色みを帯びた腹をしています。
一方、養殖うなぎは全体に青みがかっており、個体によっては銀色のように見えることもあります。また、腹は白いです。

天然うなぎと養殖うなぎの見た目

見た目
天然うなぎ 緑色から黒色の背中に、黄色みを帯びた腹
養殖うなぎ 全体に青みがかっていて、腹は白い

天然うなぎは、厳しい自然環境を生き抜く中で豊富に体を動かしているため、筋肉質で引き締まっています。
個体差が大きいですが、一般的には余分な脂が少なく、さっぱりとした淡白な味わいのものが多いでしょう。

一方、養殖うなぎは脂がよくのっており、外敵がいない環境で育つため、身がふっくらとしています。
味が安定していて好みの味を食べ続けられるため、養殖うなぎを好む人も多いようです。

天然うなぎと養殖うなぎの味

天然うなぎ 余分な脂が少なく、さっぱりとした淡白な味わい
養殖うなぎ 身がふっくらとしていて、脂がのっている

日本産のおいしいうなぎを食べ比べよう!

食用うなぎは全部で4種類あり、日本ではどれも一定量が流通しています。
ただ、種類が同じでも、天然うなぎか養殖うなぎかで特徴が異なるほか、どの産地で育ったかも味に影響するため、好みが分かれるところでしょう。

めいぶつチョイスでは、各地の生産者のこだわりや思いが詰まった国産うなぎをご紹介しており、産地直送でお届けしています。
全国各地のうなぎから、ご自分にとっての名品を見つけてください!